【アーセナルNEWS】プレミアリーグでゴールが量産される理由

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プレミアリーグでゴールが量産される理由

Goal.comのアレックス・キーブル氏の記事が興味深かったので訳します。

※意訳・誤訳があると思います。

 

今シーズンのプレミアリーグは、他の欧州トップリーグに比べてゴール数が圧倒的に多くなっている。既に1試合で(両チームのゴール数の合計が)6ゴール以上を記録した試合数が12に達した。昨年はシーズンを通して11試合しかなかったのだが、今シーズンは僅か5節で昨シーズンの合計を上回ったことになる。

 

何か異様なことが起きているが、これは環境の異様さと明らかに相関関係にある。しかし、守備の崩壊やオープンな試合を無観客試合だけで完全に説明することは出来ない。なぜなら、同じく無観客試合を行っている欧州の他のリーグではその様なことになっていないからだ。

 

おそらくこの状況は、プレミアリーグが過去半世紀に渡りハイラインとハイプレスに執着し続けて来た中での自然なプロセスであり、今シーズンの混乱ぶりは太陽に近づき過ぎた結果なのだ。

 

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フットボールにおける戦術の歴史は常に進化の歴史であり、ある戦術が少しずつ極限に達すると、それに対抗するモデルに取って代わられる。

 

例えば、ドイツのゲーゲンプレッシングがスペインのティキ・タカに取って代わったのは、前者が後者に対抗し無力化する最も効果的な戦術だったからだ。しかし、フットボールが戦術的な終着点に到達したらどうなるだろうか。

 

ジョナサン・ウィルソンは「Inverting the Pyramid」と言う意味深なタイトルの著書の中で、偽9番の出現によってフットボールの未来は普遍性へ向かっていると述べている。

 

我々はちょうどそのポイントへ近づきつつあるのかもしれない。ラインをこれ以上高く押し上げることは出来ないし、今以上に猛烈なプレスを仕掛けることも出来ない。そして、選手もこれ以上テクニックを成熟させることは出来ない。

 

おそらく、この時点でフットボールの戦術が初めて循環的なものとなり、我々はどこかの部分で逆行するか、より保守的な戦術へ回帰するのだろう。そして、プレミアリーグは人種のるつぼでもあることから、この逆行を真っ先に経験する可能性が高い。

 

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イングランドのトップリーグが欧州の他のトップリーグと一番異なる点は、経営スタイルの多様性である。リーグの富が増大した事により、実体よりももっと魅力的なものに投資したいと言う誘惑が生まれ、それが戦術や方法論、そして経験の異常なまでの衝突を生み出している。

 

グァルディオラとクロップというフットボール史上の偉人が、ランパードやスールシャールといった感情的な理由で雇われた監督と肩を並べているのは、プレミアリーグという寛大なリーグだけだ。

 

才能ある監督から借用して来たぎこちないアイディアとボルトオンの哲学により、最終的には一定の流動性の中で分裂していく事になる。

 

チェルシーがサウサンプトンと3-3で引き分けたのは、ウェスト・ブロムと3-3で引き分けたのと似ているが真逆だ。

 

ブルースの守備的なミスがセインツに試合へ復帰させる道を与えたが、ウェスト・ブロム戦は3点リードしていた。

 

彼らのライン間は非常にスキだらけで、無秩序なプレスと不規則なポジショニングが原因で、トランジションから頻繁に失点している。この事はハイライン・ハイプレス・ハイリスクの戦術が、イングランドのエリート層で支配的になっている問題の核心に迫っている。

 

クロップやグァルディオラは極めて複雑なコーチングによってその仕事を全うしているのに対し、ランパードの様な人物にそれは不可能だ。彼にはポジショナル・プレーや動き、連動性を選手達に教える能力が無いので、そのため選手達は残酷なまでに何度も何度もカウンター・アタックに晒されている。

 

また、彼のCBはよく窮地に追い込まれている。なぜなら、クロップやグァルディオラのような哲学では、CBに多くのことが要求されるからだ。現代のDFはテクニックに習熟してる必要があるし、共にステップアップする勇気と本能的に全力でカバーに戻ることが求められる。

 

しかしながら、過去に2020-2021シーズンほどCBが脆弱になったことはない。

 

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この様なトレンドが急拡大しており、戦術的ファッションのトリクルダウン効果も相まって、チェルシーに限らず数多くのクラブに広まっている。

 

サウサンプトンがトテナムに5-2で敗れたのがその良い例だ。その一方で、ウェストハムやニューカッスルも異様にオープンでプレッシャーの少ないシステムでプレーしていた。

 

レスター・Cは流行りの超攻撃的フットボールとより状況の変化に対応しやすいアプローチとの間で揺れ動き、痛手を負った。同じくマンチェスター・Uも、ライバルのアプローチを漠然と真似する以外に戦術的な方向性が全く見られない状態が続いている。

 

ただ今シーズンは、このハイライン・ハイプレスのトレンドにマン・Cとリバプールも痛い目に遭っている。どちらもこの戦術的哲学を極限まで追求したが、シーズンで消耗し切ったあと、両者とも強度を維持すべく奮闘中だ。

 

このイングランドの2強は2019-2020シーズンの同時期と比べて8Pも少なく、このまま行けば85Pほどで優勝できるシーズンになると思われる。

 

もちろん、フィットネスの問題や無観客試合の影響もあるだろう。また同様に、両者ともスカッドが高齢化しており、一つのサイクルが自然と終わりに近づいている様にも見える。しかし、絶頂期を迎えるまでの広範なパターンを無視することは出来ない。

 

仮に戦術の進化が常に現在優勢な戦術へのリアクションと捉えるなら、今後はカウンター・アタックを多用する戦術への回帰が起こるかもしれない。

 

もしそうなるのであればスパーズがその恩恵を受けるだろう。

 

モウリーニョは常々、自身を2000年代に覇権を取ったスタイルへのアンチテーゼと位置付けている。そして、12ヶ月前には時代遅れに見えた彼のチームは、カウンター・アタックや中盤へ下がってブロックする事により、(※対戦相手の)ハイリスクなフットボールを利用することができるのだ。

 

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しかし、週末の試合でトテナムが3-3で引き分けたことから、彼らが次の半世紀を定義付けるという考えに水を刺した。その代わりにアンチェロッティやディーン・スミス、そしてアルテタが未来を指し示している様に見える。

 

アンチェロッティとスミスのチームがプレミアリーグで快走しているのは、相手のファイナル・サードにプレスを仕掛けていないことも要因の一つだ。

 

アンチェロッティとスミスの両監督とも、ボールを失った最初の段階で幾つかのプレッシャーを掛けたら、比較的早い段階で元に戻るよう選手に指示している。どちらも他のどのクラブより強固なシステムを作り上げた様だ。

 

既にリーグ戦にその影響が現れている。ヴィラは日曜日のレスター戦に1-0で勝利を収めているが、両チームの選手による気後れしたスパーリングが目立った。

 

両チームともプレスもしなければ高い位置も取らなかった。ロジャースはウェストハムに3-0と大敗したことで懲りたようだ。ヴィラはハイプレスのスタイルで2019-2020シーズンの大半を降格圏内で過ごしたことを教訓に戦術プランを練り上げてきた。

 

そして、アルテタはプレミアリーグが保守主義へ回帰するという考え方にひと捻り加えている。グァルディオラとの違いは、リスクの高いショートパスをゴールキックから展開することで、相手を前方におびき寄せたいという明確な意図を持っていることだ。

 

このアイディアは自軍がゴール前で劣勢に立たされている様に見せかけて相手を誘い出し、その上で相手のプレスを掻い潜り、事前に設計していたカウンターの状況を作り出すという罠を仕掛けるものだ。

 

これは興味深く、美しいほど論理的だ。つまりハイリスクなポゼッション・プレーを発展させ、ブレイク時にも同時にプレーするという次のステップへ進化させた。自陣へ引くことであらゆるメリットを兼ね備えた場の支配と言える。

 

しかし、アルテタを真似たアイディアが戦術の展望の主流になったとしても、それに対する自然なリアクションはスパーズやエバートン、ヴィラが今シーズン示している様な反応性への移行だろう。長期的な視点で見れば、プレミアリーグは一歩後退しようとしているのかもしれない。

 

しかし、今年はその様には行かないと思うし、もしかすると既に先行している幾つかのクラブにタイトル獲得のチャンスがあるかもしれない。

(ソース:Goal.com

 

  

https://www.afcwatch.com/entry/arsenal-news-2020-10-17/
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