1月の時点でCL出場権獲得よりクラブの再建を選択していた
ESPNのジェームズ・オリー氏が、アーセナルは1月の移籍市場でオーバメヤンの放出よりも重要な決断を下していた、とする記事を執筆しています。
長文なので該当する部分を抜粋して掲載しようと思います。
1月にピエール=エメリク・オーバメヤンの運命を決めるため意思決定に携わる面々が集まったとき、彼らはスター選手の放出よりもはるかに重要な決断を下していた。
ヘッド・コーチのアルテタによると、ロンドン・コルニーの練習場やクラブ周辺でのオーバメヤンの態度が大きな問題になっていると言うのだ。
オーバメヤンはチームが決めたルールをすぐ破ることで知られており、チーム・ミーティングに遅刻したり試合前のCOVID-19検査を欠席していた。
ただ、安定してゴールを決めていることや人懐っこい性格もあり、これまでの彼は使えてきたどの監督達にも好かれていた。
しかし、その軽率な行動が仇となったのだ。情報提供者の話によると、彼は大きなトラブルを起こした訳でも無ければ酷い規律違反を犯した訳でもないという。
それでも彼がバルセロナへ移籍することになったのは、アルテタが実現を目指すクラブ文化のリセットにとって彼の存在が脅威になると感じたからだ。
ゴールスランプに陥っていたとはいえ、クラブで163試合92ゴールの成績を残す選手を放出するというのはギャンブルに他ならない。
もちろん、アーセナルはゴールを決めるオプションに乏しい若いグループが弱体化するのは分かっていた。
情報提供者はシーズン中の取材に対して、アーセナルが2021-2022シーズンに期待していることは欧州大会への復帰であり、2022-2023シーズンにCL出場権獲得を目指すことだと繰り返し述べている。
これは肥大化したスカッドを冷酷なまでに削減していくという再構築の一部であり、厄介な選手を放出して他の選手をローン移籍させるというものだ。
しかし、1月下旬の段階ではCL出場権が手の届くところまで来ていた。つまり、オーバメヤンの状況というのはアーセナルにとってより本質的な問い掛けになっていたのだ。
長期的な視野に立ったチームの再建と短期的な視点でのCL出場権獲得、どちらがより重要だろうか?
たしかに妥協することは可能だった。例えば2016-2017シーズンのチェルシーにおけるジエゴ・コスタとコンテがまさにそれだ。
冬の移籍市場でストライカーが中国への移籍を目論んでいたことから両者は仲違いしたという話は有名だが、二人はシーズン終了まで一旦その溝を無かったことにして、共にプレミアリーグを制している。
しかしながら、アルテタはアーセナルでよりプロフェッショナルな環境作りを行ってきたなか、12月までキャプテンを務めていたオーバメヤンを特別扱いすることで、築き上げてきたその環境が壊されてしまうと考えたのだ。
シーズンの後半にオーバメヤンが出来るであろう貢献よりも、そちらの方がより重要だとアルテタは考えたようだ。
オーバメヤンがバルセロナへ移籍して2ヶ月ほどが経った4月、かつての盟友について尋ねられたラカゼットがうっかりオーバメヤンの二面性を端的に語ってしまった。
「Instagramで見るオーバメヤンは僕の仲間じゃないんだ」「ピエール=エメリクとは仲良しだよ。でも皆はオーバメヤンは知っていてもピエール=エメリクのことは知らないだろうね」と彼は語った。
アルテタはオーバメヤンではなくピエール=エメリクと一緒にしていると感じていた。監督の目にはオーバメヤンよりもピエール=エメリクの方が圧倒的な個性として映っていたのだ。
だからこそ、移籍市場の後半に彼を放出するチャンスが来たとき、アーセナルはすぐに行動を起こしている。
これは特に優先すべきオプションが無いなかで慌てて代わりを獲得することに抵抗があったことも相まって、大きな決断の一つであった。
その代わりとして、アーセナルはシーズンの残りを週に1試合のペースで戦うことを前提にチームのスリム化を推し進め、CL出場権獲得の可能性を選手層が薄くて経験の浅いチームに委ねることにしたのだ。(以下略)
ボリュームがあるので全部を掲載しませんが、この他にもクラブがFFPを気にしていたことや今夏の補強戦略についても触れられていて、とても興味深い記事でした。
(ソース:ESPN)