2020-21シーズンは165億円の赤字
アーセナルは2020-2021シーズンの決算を発表し、税引き後に1億720万ポンド(約165億円)という巨額の赤字を計上したことが明らかになりました。
営業利益は3,950万ポンド(約61億円)で前年度の3,710万ポンド(約57億円)より増収となっていますが、それ以上に支出が大きく増加しています。
巨額の損失に至った主な要因として、Covid-19のパンデミックにより2020-2021シーズンの大半の試合が無観客で開催されたことを挙げています。
クラブの試算では、税引き前で8,500万ポンド(約131億円)の損失がパンデミックに起因しているそうです。
昨シーズンのホームゲームは31試合開催されましたが、そのうち観客を入れて開催されたのは僅か2試合でした。
内訳はプレミアリーグ23試合(このうち4試合は2019-2020シーズンの中断に伴い延期された4試合を含む)、EL6試合、国内カップ戦2試合となっています。
この大半が無観客試合だったことから、マッチデイの収入として約7,500万ポンド(約116億円)を失い最終的には380万ポンド(約5.9億円)の利益しか得られませんでした。
しかし、その一方で放映権収入はELで準決勝に進出したことによる分配金もあって1億8,440万ポンド(約284億円)を得ています。ELラウンド32で敗退した2019-2020シーズンは1億1,890万ポンド(約183億円)だったので6,550万ポンド増加しています。
賃金の支払い総額は2億4,440万ポンド(約377億円)となっており前年度と比較しておよそ1,000万ポンド増加していますが、この増加分はCovid-19に伴ってトップチームの選手達と合意した賃金削減により相殺されているとのこと。
ただ、スタッフを大量にリストラした影響で670万ポンド(約10億円)の追加費用が発生しているそうです。
選手の売却によって得た利益は1,180万ポンド(約18億円)で前年度の6,010万ポンド(約93億円)から大幅に減少しています。これはパンデミックにより移籍市場の流動性が低下したことが響いたと考えられます。
この他に、クラブが銀行から借りていたエミレーツ・スタジアムの建設費用を、親会社であるKSE(クロエンケ・スポーツ&エンターテイメント)からの融資に借り換えたことに伴う費用が3,220万ポンド(約50億円)発生しています。このローンの借り換えもパンデミックに伴う収益悪化に伴い実施されたものです。
この様に2020-2021シーズンは記録的な赤字を計上するほど経営が悪化しましたが、クラブはこの間に親会社であるKSEから多額の資金投入を受けたことを明かしており、オーナーであるスタン・クロエンケ氏が完全に掌握していることを強調しています。
2021年 | 2020年 | |
フットボール事業に伴う利益 | £3,950万 | £3,710万 |
例外的なコスト | ▲£3,900万 | ▲£1,040万 |
選手登録の償却・減損 | ▲£1億1,740万 | ▲£1億1,130万 |
選手売却・ローン収入 | £1,480万 | £6,360万 |
不動産取引に伴う利益 | ー | £30万 |
利息(例外的な項目除く) | ▲£760万 | ▲£1,360万 |
その他 | ▲£1,750万 | ▲£1,770万 |
税引き後の損失 | ▲£1億2,720万 | ▲£5,400万 |
(ソース:Arsenal.com)